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染まる

父が日ごろからお世話になっていた方が、亡くなりました。

末期癌で、気づいた時には手術も抗がん剤の投与もできない状態。

父がお見舞いに行くと、ご自身で自分の状態を冷静に話されたそうです。

お葬式は、9日だったと聞いています。

その、お葬式。

キリスト教式の、お葬式だとか。

亡くなったMさんは、クリスチャンではありませんでした。

では、なぜか。

彼の奥さんが、クリスチャンだったのです。

クリスチャンではない人が、キリスト教のお葬式をあげるためには、 その前に『洗礼』を受ける必要があるそうです。

Mさんは、亡くなる前に、洗礼を受けました。

勝手な解釈ですが

きっと、最期に、奥さんと『一緒』になりたかったのではないでしょうか。

そしてそれは、彼が奥さんを、愛していたから。

奥さんと、同じになりたい。

そういう想いだったのではないでしょうか。

人は、誰かを好きになると、その人の癖や話し方、趣味など

その人を形成している様々なものに興味をもつもの。

彼がスノーボードをするから、自分もはじめてみた。

彼が音楽が好きで、その影響で色々な音楽を聴くようになった、とか。

相手の色に染まる、染まらないなんて表現がありますが

染まらないのも、ひとつのカタチ。

悪いことではない。

でも、相手が好きで、相手を知りたくて、相手の色に染まっていく

そんな恋愛も、私は素敵だなと、思います。

Mさんは、最期に、奥さんと同じに、一緒に、なりたかった。

同じという表現がよくなければ、最期に、奥さんに寄り添いたかった。こうでしょうか。

このエピソードを聞いたとき、とてもすてきで、切ない話だと思いました。

洗礼を受けて、奥さんと同じクリスチャンになって、亡くなったMさん。

父が、お世話になりました。

誰に頼まれたわけでもなく、町の草むしりをしてくれていた、Mさん。

天国と地獄なんてものがあるのなら、どうか、天国で、安らかに眠っていただきたいです。

『明日のことは誰にもわからない。 今日一日を大事に生きような』

父のメール。

私は今日一日、しっかりと生きれただろうか。

少し振り返る、そんな夜。

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