本当の医者
- cormari
- 2016年8月30日
- 読了時間: 2分
私にはもう何年もずっとお世話になっている精神科の先生がいます。
中島先生。
今も月に一度、先生の診察を受けに行くのですが
ここ数か月、先生の体調が良くありません。
80歳を過ぎても現役。 今、きっと身体がしんどいと思います。
先生はいつも、いいお話をしてくれます。
この間も、一つ、教えてくれました。
「AはAで非ざるが故にAである」
鈴木大拙という方の言葉。
先生はご自身が30歳ほどのときに彼の本に書いてあったこの言葉を見つけ、
意味を考えたそうです。
そしてその後、先生にはこの言葉から得た考えがあります。
「本当の医者はね、医者であって医者ではないんですよ」
診察室で、先生はそう言いました。
本当の医者とは 医者であって医者ではない
つまり
医者である内に患者の心を持っていなければ、本当の医者ではない
患者の心がわからなければ、本当の医者にはなれない
そういうことではないでしょうか。
先生は今、鼻にチューブをつけ、それをマスクで隠して診察をしています。
いつだったか、言っていました。
「先生はもう十分やったんだから、いいんですよと言われる。
でも、休めて僕はいいかもしれないけど、僕の患者さんが困るでしょう」
本当の医者とは?
今、マスクをして笑顔で患者さんを待つこの人が本当の医者でないのなら
誰をお医者さんと呼べばいいのか私にはわかりません。
先生はもう長くないかもしれない。
来月会ったら、また写真を撮らせてもらおう。

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